ぶつからないクルマ実車試験 (平成26年3月)

 富士重工業とVolvo社が最高評価を獲得

歩行者の認識・衝突回避機能を業界で初めて評価、公開

 日経BP社が自動車専門誌『日経Automotive Technology』で、自動車メーカー社の自動ブレーキ搭載車を集めて、車両および人の認識・衝突回避性能を評価する「ぶつからないクルマ実車試験」の結果を発表しています。

 試験の最大の特徴は、対車両だけでなく、対歩行者の衝突回避性能を評価し、どのシステムが最も高い速度から対象物を認識して衝突を回避できるかを明らかにした点。特に、歩行者への衝突回避機能を評価・公開したのは初の試みです。

 調査対象は、自動ブレーキ機能を搭載している車両のうち、代表的なセンサーを搭載し、自動ブレーキ機能を比較的安価に装着できる
車種を選んでいます。

 試験の結果をまとめたものが下の表です。富士重工業の自動ブレーキ機能「EyeSi
ghtver.2)」が最高得点を記録し、Volvo社の「City Safety/Human Safety」とともに最高評価の“AAA(トリプルエー、総合点で5点以上)”を獲得しています。

 最高点は富士重工業の
7点(総合点)で、対車両は約50km/hから衝突を回避し、対歩行者は約40km/hから衝突を回避しました。

 Volvo社の「V40」は5点(総合点)で、対車両は約40km/hから、対歩行者は約30km/hから衝突を回避しています。

評価と獲得した点数

評 価

社名

自動ブレーキ名

試験車

対車両

対歩行者

総合点

AAA

富士重工業

EyeSight ver.2

XV

4点

7点

Volvo

City Safety/Human Safety

V40

3点

5点

AA

日産自動車

エマージェンシーブレーキ

エクストレイル

2点

1点

3点

BMW

Driving Assist

M5

2点

トヨタ自動車

プリクラッシュセーフティシステム
(ミリ波レーダー方式)

クラウンアスリート

2点

-

スズキ

レーダーブレーキサポート

ワゴンR

1点

-

1点

ダイハツ工業

スマートアシスト

タント

1点

-

1点

ホンダ

シティブレーキアクティブシステム

フィットハイブリッド

1点

-

1点

Volkswagen

City Emergency Brake/
Front Assist Plus

ゴルフヴァリアント

1点

-


評価の高い車はカメラを装着

 富士重工業のシステムは、車両と歩行者の認識にステレオカメラ、Volvo社のシステムはミリ波レーダーと単眼カメラ、赤外線レーザーを使っています。

 次に高い評価となる“
AA(ダブルエー、総合点で34点)”を獲得した日産自動車とBMW社は、ともに単眼カメラを採用しており、カメラを使ったシステムが上位に並んでいます。

 ミリ波レーダーや赤外線レーザーが歩行者を認識することが難しいのに対し、カメラは歩行者を認識しやすく、対歩行者の衝突回避機能を高められたためです。
 “A(総合点で2点以下)”評価では、トヨタ自動車とVolkswagen社がミリ波レーダーを使い、スズキ、ダイハツ工業、ホンダが赤外線レーザーを使っています。
 トヨタのシステムは
30km/hの速度で車両を認識して衝突を回避しましたが、それ以外のメーカーのシステムは20km/h以下で車両を認識・停止したにとどまり、いずれも1点となっています。

 ■試験の方法

 試験では、低中速域(50km/h以下)で走行している車両が、停止している車両や歩行者のターゲットを認識して、自動的にブレーキをかけて衝突を回避できる最大の速度を測定しました。

 試験車両が車両のターゲットに向かう場合と、歩行者のターゲットに向かう場合の2種類を実施しました。

 速度は原則として約20km/h、約30km/h、約40km/h、約50km/hの4段階とし、各速度において衝突を回避できた場合に1点を加点しました。

 対車両と対歩行者で得た点数の合計を求め、5点以上を“AAA(トリプルエー)”、3〜4点を“AA(ダブルエー)”、2点以下を“A”と、3段階で評価しています。
試験期間  2014年3月26日〜28日
測定方法
 車両を模擬したターゲット(布に車両の写真を印刷したものに赤外線レーザーを反射する反射板やミリ波レーダーの電波を反射するアルミ箔を取り付けたもの)、歩行者を模擬したターゲット(服の中にスポンジを詰めてアルミ箔を取り付けたもの)に一定速で向かい、自動ブレーキの最大衝突回避速度を測定
計測機器
 OxfordTechnicalSolutions社製「RT3000シリーズ」(位置・車速・加速度計)
試験場所  埼玉自動車大学校テストコース

付 記
 「今回実施した試験は、あくまでも本誌が指定した条件で、車両および歩行者を模擬したターゲットへの自動ブレーキの認識・衝突回避性能を調べたものです。 各自動ブレーキの日常利用での衝突回避を保証するものではありません。
 自動ブレーキを備えていても、車両の速度、対象物、天候状況、道路状況などの条件によっては、衝突を回避または、被害を軽減できない場合があります。
 また、ハンドル操作やアクセル操作による回避行動を行っているときは、作動しない場合があります。このため、日常の車両停止のために同機能を使うこと、試験と同様の作動テストを実施することは危険ですのでおやめ下さい。そうした行為により、事故が起きた場合は当事者の責任とし、弊社は責任を負わないものとします。」とあります。

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