4) リハビリ

リハビリ(1)

 転院した時は、すぐにはリハビリがはじまらなかったので、、何もすることがありませんでした。

 何もしない1日は長く、気持ちが焦りました。

 でも転院の翌日には、歩行のリハビリを行う担当PTがM先生、手の動作のリハビリを行う担当OTがN先生に決まりました。

 すぐに、障害の状態を調べる事からリハビリが始まりました。(もちろん、前の病院からの引継ぎはあるのでしょうが)

 後で当初のときの様子を聞くと、麻痺側の足はヘナヘナで、車椅子からリハビリマットに移る時も出来ると言ったのは良いけど、全然ダメだったようです。

 また、左半身は感覚の麻痺があって、障害の回復にはマイナスになるけれど、視覚などで代替していくしかしょうがないだろうと言われました。

 手や足を動かした時、どのような状態にあるのか分かり難いのだそうです。

 4月下旬から平行棒内で歩く練習が始まりました。その時は介助されていますが、歩くといった体裁のものではなかったと思います。

 左足が前に出ないし、体重もささえられません。

 5月中旬からは、脚立のような4本足の道具で練習をしましたが、このころは、左足を前に出すのですが、どのへんに足が出ているのか下を見ていないと分かりませんので下の方ばかり見ていました。

 下旬に1本杖を試しましたが、私の身長に合った長さのものが無いためと足のだした感覚が掴めないことから、しばらくは、歩行器を使って練習を続けました。

 このころは、リハビリをしていても、自分は歩けるようになれるのか、いや、歩けるようにならないのではないだろうかと思っていました。

 そして、リハビリの時は何時転倒するかと思いながら練習をしていました。

 仕事に戻れるのか、車椅子のままではないのかと不安でしょうがありませんでした。

自主トレ(1)

 最初の頃始めたトレーニングは、一つは、ベットに寝て、女房に手伝ってもらい行うもので、リハビリの先生から自主トレのメニュー(足や尻など下半身と腕などを動かす10種類ぐらい)をもらい7月頃までは午前午後の2回、それから退院までは午前を1回しました。

 1回は40分ぐらい掛かりました。

 もう一つはベット脇の車椅子(車椅子の前に立っていれば後ろに倒れても安心で。右手には低いタンスがあり、動く方の右手を置いて体を支えました)から立つことを繰り返して足腰の力を付けるようにしました。

 最初は10回ぐらいしか出来ませんでしたが最後には100回ぐらいまで出来るようになっていました。

 また、何時頃から始めたか忘れましたが、ある程度手足に力が付いてきてからだと思いますが、朝起きてと寝る前、いろいろリハビリで習ったことを準備体操と整理体操としてをベット脇の車椅子に座りそして前に立って30分づつやりました。

 これは体が硬くならないようにと、体を暖めるのと、麻痺したところが少しでも動くようにする目的でしました。

 自主トレで、最初考えたことは、両足で立てる力を付けることです。

 杖を使っても使わなくても、立てなければ歩けないのです。

 ですから、両足で立っていられるようになろうと一生懸命、自主トレをしました。

リハビリ(2)

 左手は、転院してきた時は腕がお腹と胸の間ぐらいまで上がるだけでした。手自体ほとんど動きません。

 最初から、手の回復は難しいと言われました。

 手や腕は多くの筋肉で動くようになっており、リハビリでも、上半身、肩、腕、肘、手首、手と、基部からやらなければ、手は動くようにならないそうです。

 最初は、仰向けになった腕を空中に止める練習ですが、見ていないと感覚が無いため空中に止めて置けません。

 上半身だって、そのままでは起こせません、体の左半分が麻痺したのですから、半身になって、右手を使ってやっと上体が起こせるのです。

 左腕がゆっくりと、動かせるようになったのは、2〜3ヶ月経ってからでした。

 左手は親指と人差し指が少し使えるだけで、全部の指でものは掴めても、力は無く、手を開くことも手首を上げては出来ませんでした。

 リハビリも、残った機能と、回復した機能を如何に生活に役に立てようかという観点から行われており、障害の軽い人以外、元とのようにとは無理な相談でした。

 歩けないのも辛いものですが、片手が思うように動かないのも辛いものです。
何処まで治るの
 何処まで回復するのか、これが一番知りたい事です。

 リハビリの先生に聞いても、先生も何処までとは言いませんでしたが

 障害は完全には回復しない。

 回復は人それぞれであって、人と比べるのは無意味、自分の一月前、二月前と比べなさい。

 どれだけ回復するかは、損傷した脳細胞の替わりをする別の脳細胞がどれだけ働き出すかによるもので、リハビリは動く筋肉をしっかり機能させ、障害のある体で如何に生活するかを訓練するものと言っていました。

 私は、ずーっと、外は杖を使わなければならないだろうとのことでした。

 患者さんによっては、リハビリの先生から、一生車椅子が必要と言われ、気を落とす人もいました。

リハビリ(3)

 6月下旬から、練習用の杖を長くしてもらい、本格的に一本杖でのリハビリを行いました。まだ、少し歩くだけでも、掌が汗でびっしょりになるぐらい緊張します。

 リハビリで歩く距離は20〜30mですが、それだけでも大変でした。
 
 7月には自分の杖ができましたが、リハビリの時でも、まだ、やっとこ前に進んでいるような状態で、このままでは何時、一人で外が歩けるようになるのか分からないと思うぐらい歩き方でした。

 また、少し良く歩けるようになったと思ったり、ダメだと思ったり、その日の状態で一喜一憂ですが、実際は精神的なものだけだったようですし、回復の度合いは月単位でしか分かりません。

 8月下旬から坂道と、その少し後から階段の練習が始まりました。

 坂道と階段は非常に恐いものでした。障害がなければ、なんでもないところなのに、前の倒れそうで、始めたばかりのころは緊張で内反(足の外側が反ってしまう状態)が大きくでてしまいました。

 先生によれば、慣れれば大丈夫と言っていましたが、退院まで階段は自分一人では練習できませんでした。

 自主トレ(2)

 自分の杖が持てた7月には、病棟の3階にある平行棒を自分一人で練習してよい許可がもらえたので、朝食を食べるとすぐ練習に行くようになり、通常の歩行や、横歩きなどを退院するまで練習しました。

 また、7月から杖を使って歩く自主トレも始めました。

 最初は部屋の中と部屋の前(10m)から始めて、そのうちトイレ(20m)まで、ナースステ−ション(30m)まで、ロビー(50m)までと許可を貰い、距離を伸ばしていきました。

 病棟の中を続けて何往復も出来るようになった9月中頃からは建物の外で歩く許可を貰い一日2〜3回外を歩きました。

 外も徐々に距離を伸ばすようにして退院する頃には一番長い距離で500mぐらいまで歩くようになりました。
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